短編

□俺のヒーロー
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佐相

相馬さんはかっこよくて可愛いんです。












その事件は午前中のワグナリアで起こった。


「そ、そそそうまさぁぁぁぁんっっ!!」

「山田さん!?」

今日の佐藤くんのシフトは午後からな為、俺1人せっせと働いていた所に山田さんが飛び込んで来た。

相当焦っていた様子で息を切らし、よく見たら涙目だった。


「なっ…何があったの!?」
「うー!!山田…お客様を怒らせてしまいました…!!」
「うんっそれで…?」
「ま、まだ小鳥遊さんも来てなくて…っ店長は八千代さんとでかけていて…うえ」
「………そのお客さん怖かった?」
「はい!それで…今種島さんが…っ」

…そうゆう事か、

「解った、山田さんはここに居て。」
「はっ…はい!!」

山田さんを一先ず落ち着かせ急いでフロアへと向かった。





「本当にすいませんでした……!!」
「うるせぇ!!ガキは黙ってろ!!」
「………!!ひ…」

……予想通り、タチの悪い客だった。

今は種島さんが対応していて、伊波さんは近付く事も出来ないままおろおろしている。

「お客様、申し訳ありませんがうちの店員が何か失礼な行いをしてしまいましたか?」
「………っそーまさん!!」


種島さんが俺をばっと見上げ思わず笑みを溢した。

目立たないように背中をぽんぽんと叩き、微笑む。

「ああ!?誰だお前!?」
「キッチンスタッフの相馬と申します。」
「何の用だ!!」

駄目だこいつ、話聞かない。


「……失礼ですがお客様、他のお客様に迷惑ですのでお引き取り願えますか。」
「ああ!?客にそんな態度で良いと思ってんのか!?」
「……ですから」
「黙ってろ!!」

がっ

「そーまさん!!」
「………大丈夫だよ」

手まで出すか…
あーじんじんする。

ま、佐藤くんが殴る方が痛いけど。


しかし、まずいな…

「…舐めやがって」
「………っ」
あー胸ぐらを掴まれた。
どうしよう…
「オイ」

え?





あれ、なん、で?







「ああ!?」
「その手、離せ」
「お前も店員か!?」

そこにはいるはずの無い私服姿の佐藤くんが居た。

「さとーくん?何でここに…」
「山田から電話で聞いて急いで来た」
「山田さんが…」



「お、「ああ…?」

「……ひ、」


元から目付きの悪い佐藤くんは今は機嫌も悪いのか、凄みが増して居る。

「……3秒以内に帰らねぇと」
「……っこ、こんな店!!言われなくても出ていくわ!!」


客はお代も払わないで出ていき、店中に安堵の息が漏れた。



「はぁ…ありがとうさとーくん」
「別に…」




ああもう素直じゃないなぁ。

俺のヒーローは。



俺がピンチだと知って汗だくで店に走ってきた佐藤くんを思い浮かべ、どうしようもない笑みが溢れる。


あーやっぱ


さとーくん、大好きだ。



end

ピュアな佐相が好きです。
相馬さんがピンチにあったら佐藤さんは迷わず助けに行くと思うんです。

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