さびしいけどすきなんだ

□「ははっなんだそりゃ」
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かぽーん


「うぁ、湯煙すごいね」
「臨也、俺に掴まってろ」
「う、うん」


言われるがままにしずちゃんの腕を掴む。

「…お風呂入んないの?」
「普通先に体洗うか、かけ湯だろ、マナーだぞ?」
「そ、そか…ごめんなさい」
「何で謝るんだ、怒ってないぞっ」
「ん、う」


しずちゃんに連れられてまず体を洗うことにした。


じゃー

「しずちゃんあらってー」
「……しゃーねーな、おらこっち向け」

言われた通りにしずちゃんの方を向き、下を向く。

しずちゃんは優しく頭を洗ってくれて、ついでに背中も流してくれた。


「しずちゃんありがとー」
「ん、お前も背中流せよ」
「はーい!!」


お互いに背中を流しあい、体を洗い終えてやっと湯船に浸かった。



「ふぅー……」
「きもちいな」
「ん!!」

湯加減は丁度良かった。

「…かぁさんと幽…どうしてるかな」
「かすか?」
「俺の弟」
「………ふぅん」

……しずちゃんの家族は、俺の家族とは違うんだろうな。

しずちゃんみたいな優しい子が暮らしていた家だもん。

……俺とは違って。


「……ねぇ、しずちゃん」
「ん?」
「家、帰りたい?」
「………」

……聞かなきゃ良かった。

帰りたいって、言われたらどうすればいいんだ。





「……今はいい、」
「え?」






「今は、臨也といたい」






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