さびしいけどすきなんだ
□「ははっなんだそりゃ」
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誰かの為に何もかも捨てるのって
どうしようもないくらい馬鹿でかっこいいよな
「ここが銭湯かー」
「だな」
「子供だけでも入れるかな?」
「多分…」
あれから10分くらい歩いてやっと町に似合わない古びた銭湯を見つけた。
池袋にもあるんだ…。
ガラララ…
しずちゃんが静かに引き戸を開ける。
内装はまぁまぁきれいだった。
ぼーっと立ち尽くしているとレジに立つおばさんが俺達に気がついた。
「おや、僕たち初めてかい?」
「は、はい…」
「1人50円ね。」
「あ、」
そういやタオルなども持っていない事に気付いた。
「おばさん、タオル…」
「あぁ、バスタオルは300円ハンドタオルは200円ね」
「は、はーい」
バスタオルとハンドタオルを2セット購入して(計1000円)男風呂へと向かった。
のれんをくぐれば独特の脱衣場の匂いが鼻を抜ける。
「おっふろー♪おっふろー♪」
「何だその歌」
「お風呂の歌!!」
「ははっなんだそりゃ」
しずちゃんが微笑みながら俺の頭を撫でてきた。
少しくすぐったいけど俺もそれに答えて頭をすりよせる。
くすぐったいけど、きもちい、な。
…しずちゃんだいすき。