ロリ転校生

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背後で壁をドンドン叩いて笑い転げている霧野は後で一発殴っておくとして。


「あ…ありえないよ…神童くんが…神童くんがあの有名な雷門中のキャプテンさんだなんて…!」


さてこのムカつく小学生をどうしようか。

さすがに女子相手では殴れないし、かと言ってこのまま放っておくのは俺の気が収まらない。


というか、有名だと言うのなら名前くらい覚えていてほしいものだがな。


はあ、と俺がひとつため息をつくと同時に、先程彼女が無理矢理抉じ開けた自動ドアがウィンと開く。


そこから入ってきたのは山菜と瀬戸。

…天馬たちのように先にグラウンドに行っていればいいものを、なぜこのタイミングで部室の方に来るんだ。


「よ、ちょっと邪魔する………ん?なんだ?このちっちぇー子供」
「子供じゃないよっ!そりゃちっちゃいけども!」


小さいのは認めるのか。

まあ他に比べてちょっと小さいどころじゃないからな。


「…?霧野の妹かー?」
「…っは、な、なんで俺なんだよ…っぶはっ」


まだ笑いが収まらないらしい霧野は涙声になりながらも瀬戸にそう返す。

多分瀬戸は髪の色で判断したんだろう。単純な彼女らしい。


「こ、これでもれっきとした中学二年生だもん!!」
「はは、かわいーなーこいつ!」
「うっ……」


…おい、俺のときとはえらく態度が違うなこの小学生。

ただ純粋に瀬戸の裏表のない態度に反論が出来なくなったのか。

それとも単に俺のことが嫌いなのか。…どっちだ。両方か。


「水鳥ちゃん水鳥ちゃん」
「なんだー?茜も撫でるか?」
「その子が、さっき話してた転校生さんだよ」


山菜の言葉に、一旦城ヶ崎さんの頭を撫でている手を止める瀬戸。

さすが山菜だ、もう転校生の顔を把握しているのか。


「こいつが?本当に?」
「うん。美波ちゃんだよね」
「あっ…は、はい!!」


ぱあっと花が咲いたように笑顔になる城ヶ崎さんに、山菜も笑顔を返す。

なんだか腑に落ちないといった顔をしながらも、山菜が言うのだから本当なのだろうと判断したらしい瀬戸は、素直に納得した。


「そっか、宜しくな美波!あたしは瀬戸水鳥!二年だ!」
「私、山菜茜。二年生。よろしくね、美波ちゃん」


瀬戸に髪をぐしゃぐしゃにされながらも嬉しそうな城ヶ崎さんに、また少しだけ不満が募った。


とりあえずこの不満は、未だ笑い続けている霧野を殴って収めることにしようと思う。



 

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