レズ少女

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「…ふーん、逃げなかったんだな」
「逃げたらサッカー部マネージャー一同+春奈先生にお前の悪印象植え付けるぞとか言ったのどこのどいつゥー」
「語尾の伸ばし方がウザい」


語尾の伸ばし方まで注意されるような、っていうかお前に注意されるところなんざどこにもないわリバースカードが!!


ちくしょー校門前とか目立つところでお前みたいな目立つやつと話なんかするから物凄く視線がこっちに突き刺さるじゃねえかよ!!


「おい、あれ…中宮じゃね?」
「マジ?一緒にいんのって男だよな?レズって噂は嘘だったんだな」


うわー聞こえない聞こえない聞こえない私がレズだなんてどこから広まったんだあーあーあー!!


「何してんだアホ、行くぞ」
「おい南沢ゴラァ私を一時間近く待たせといてなんだその上から目線」
「部活だったんだよ。つかお前も来るかって誘っただろうが」
「いやいや無理無理無理、茜ちゃんが近くにいるなんてもう心臓壊れるっつの。つかそれ以前にサッカー部って男子率超高いじゃん絶対無理」
「……ヘタレ」


はっ、悪かったな!!どうせ私はヘタレだし好きな子に話しかける勇気も持てないチキン野郎だよ!!


「…で?私に何の用?」
「別に。ちょっと遊びたい気分だっただけ」
「帰っていい?」
「お前何のために待ってたんだよ」
「お前が待ってろっつったからだろうがああああああ」


もう無理ぶん殴りたいこいつ。くたばれエロみ沢が。私の貴重な時間を返せこのキザったらしのナルシ野郎が。


「文句言うなよ、来い」
「うっわ上から目線とか最悪」
「お前が言うな」


つーかさ、何が悲しくて大嫌いなこいつと一緒に楽しい放課後を過ごさなきゃならないわけ?普通の男子ならまだしもなんでこいつ?涙出てくる。


あ、そういえば昨日のピラメキーノ占い最下位だったな。一位キタよっしゃ絶対一位だしはっはーんザマミロとか弟に言った気がする。

最下位だったときの落ち込みようは半端なかったわー。


まあそんな余談は置いといて。


「ねえ冗談抜きで帰らせて。南沢と一緒にいる時間が長くなるなんて宿題の終わってない夏休み終了前日の深夜くらい最悪」
「例えが分かりにくい」
「つまり夏休みの宿題なんてなくなればいいと思う」
「同感」
「つまり「着いたぞ」


くそおおおおお人の言葉を遮るんじゃねえアホンダラがあああああああ

つーかここゲーセンですけど!!着いたぞじゃねえよゲーセンですけど!!


「何?何すんの」
「言っただろ、遊びたい気分だったって」
「遊びたいってそっちか!!一人で遊んでろよナルシ沢!!」
「名前のレパートリー増やしすぎだろ」


…エロ魔神に始まってエロ沢チャラいやつエセ魔神うざみさわくそったれ低身長野郎リバースカードキザったらしアホンダラナルシ沢…


確かに増えすぎな気がしないでもないな。
まあくそったれとかアホンダラは退けてもいいんじゃ……


「あれ、南沢さん?」


とか思ってぼーっとしていると、誰かがこいつの本名を呼ぶ。なんか聞いたことあるなこの声。

振り返ると、どっかで見たことあるようなないような男が一人と女の子が一人。


「…何してんだお前ら」
「いや帰り道ですし…」
「南沢さんこそ。…あ、もしかして、そちらの彼女とデートですか?」
「お゛ぇぇぇ」
「中宮ちょっと話があるんだが」


やべーなマジで吐くところだったよ、無理無理こいつとデートとか地獄よりも行きたくないお出かけスポットだよ。


「ち、違うんですか?す、すみません…」
「いいんだよー!気にしなへぶっ」


変なところで区切れたじゃねえか何しやがんだ暴力男が!!
つかお前に叩かれる度に元々果てしなく少ない脳細胞が絶滅しちゃうからやめろよ!!


「いきなり何!!」
「そいつ、男だぞ」
「ハァ?見てみろよこの可愛さもう犯罪級じゃねえかどこをどう見たら男なんだよよく見やがれ」
「お前こそよく見やがれどう見たって男物の制服着てんじゃねえか」
「んなわけねーだろほらスカート履iえええええええええ」


リアルに目が飛び出た。
なんっ、え、なんで男子の制服ズボンなんて履い…ああそっか、


「男装女子も萌えだよね」
「霧野、そいつの目を覚ましてやってくれ」
「寧ろ寝かせてあげていいですか、永遠に」
「霧野おおお待て待て待て!!堪えろ!!仮にも相手は女の人だから!!な!?」


えっだってありえないよ!?私より数百倍可愛いもんこの子!!男だとか絶対嘘!!もういい確認してやる!!


「ごめんね、えいっ!」
「「「っ!?」」」


………うん、『ある』。
いやー世の中って分からないものだな。


「――ッッ!!!!」


この後彼の投げたものがゲーセン内のゲーム機に当たって警報が鳴るまで、私は全速力で逃げ続けた。



 

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