レズ少女

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「好きです、中宮さん!」
「…ごめんね、私……」


女の子にしか、興味ないの。







「…お前、純真な男の恋心を踏みにじって楽しいか?」
「うげっ、出たなエロ魔神ミナミサワ!!というかお前みたいなチャラいやつがいるから私は女子が大好きなんだ!!」
「黙れ、つか誰がエロ魔神だ、あん?言ってみやがれ」
「エロ沢さんですー。だってもう存在自体が痛い痛い痛いっ!!髪引っ張らないで!!」


…だからガサツな男って嫌いなんだ。特にこの人みたいなチャラい男。見てるだけでテンションが下がる。

エロ沢…間違えたっていうかこの間違い方もう公式だよね。

話逸れたけど、この男・南沢………なんだっけ、…あ、あ……あ、なんとか……ああもう、あっちゃんでいいや。名前使わないし。

南沢は、同じクラスのサッカー部員。
一番憎たらしいやつ。
なんでって?んなもん、うちのクラスで女子に一番モテるからに決まってるだろ!!


「ちくしょー、髪は女の命なんだぞ」
「もういっそ女捨てろよ」
「嫌だ!!お前らみたいな男共と群れるなんて考えただけで吐き気がする!!」
「威張んな」


はあ、とため息をつかれた。いやいやいやため息つきたいのはこっちだよ!!

何が悲しくて告白現場をお前なんぞに見られにゃならんのだ!!


「で?今は誰だっけ」
「ん?ああ、二年の山菜茜ちゃん!サッカー部にいるんでしょ?ちょっと写真撮ってきてよ!!」
「お前普段俺に対して散々なくせに都合のいいときだけ上から目線で頼みごととはいい度胸してんじゃねえか」
「そんなぁ、男に誉められても吐き気しかしないよ!!」
「どこからつっこめばいい?」


はっ、こっちは男子と会話なんてしたくないってか正確に言うとお前と会話したくないんだよ!!

茜ちゃんがサッカー部にいなかったら絶対にこんなやつと話さないっ!!1年の空野葵ちゃんとか2年の瀬戸水鳥ちゃんも素敵だけど今は茜ちゃん一筋だ!!

うわー南沢のせいで話逸れたし。最悪。だから男って嫌いなんだ。


「っていうか、なんでここにいるの。私、一応極秘で来たんだけど」
「たまたま見えたんだよ」
「ちくしょーもう何回目だその言い訳!!数えてないけど多分今年度で5回は聞いたぞ!!」
「まだ6月だってのに今年度で5回も告白されてんだな」
「しまった墓穴掘った!!」


もうなんなんだこいつ面倒くさいやつだな!!
いちいち話題を変えるんじゃない!!うざみさわが!!


「おい今失礼なこと考えなかったか」
「うっそ超能力!!」
「とりあえずその残念な頭を人並みに戻してから出直してこい」
「い゛っだ!!」


おもいっきり殴りやがったこいつ!!絶対たんこぶできた!!もうやだこいつやだ!!


「なんで分かったのさ!!」
「いや直感」
「超能力とか言うんじゃなかった!!エセ魔神!!あれ間違えたエロ魔神!!」
「本当残念だよなお前」
「あああああ肘はやめえええええ」


肘でぐりぐりすんなバカヤロー建物と地面の高さの差を利用して私より低い身長を人並みに上げたからって調子乗るなああああ

まあ?それでも外にいる私と目線が変わらないってことを考えると?随分と身長がご低い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!


「お前全部声に出てんだよ」
「うっそ低身長って聞こえてた!?」
「嘘だっつの学習能力つけろ馬鹿あとそれ地雷だから」
「うああああ騙したなあああああ!!」
「騙される方も騙される方だろ」


無理。だからこいつは生理的に無理な部類なんだ寄ってくんなくそったれえええええ


「…あ、あと」


ピタリと、南沢の手が止まる。ああ痛かった。エロ沢低身長野郎のくせしてなんでそんなに力強いんだこいつ。

打撃された頭をさすりながら彼の次の言葉を待っていると、南沢は口角を吊り上げて妖艶に笑った。

嫌な予感がするっていうか嫌な予感しかしない。背筋に悪寒が走る。


「お前今日…日直の仕事、すっぽかしただろ?」
「いやそれはここに放課後すぐに呼び出されたわけで後で戻ろうと」
「俺が全部やっておいたから」
「え?」


ん?なんだこいつ案外良いやつ?いやただ単に気まぐれなんだろうけど。

良かった、うちの担任、日直に関しては超厳しいんだよねー。廊下雑巾掛け30周とか言われるんだよ鬼畜だろ

まあ助けてくれたんだから、ありがとうくらいは…


「すっぽかしたってバラされたくなきゃ、明日の放課後…俺に付き合えよ」
「私のありがとうを返してっていうか嫌に決まってんだろ何言ってんだお前くるくるぱー?」
「お前に拒否権なんてあると思ってんのか」
「くそったれえええええ話くらい聞けえええええええええ」


私の悲痛な叫びは、随分と離れたサッカー棟にまで届いていたそうな。



 

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