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□舌禍は身を滅ぼす
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「まぁ、アレは忘れるとしてだな」
「「思い出させんな/させないで下さい アホ河童っっ!!!」」
思いの外凄まじい剣幕で怒鳴られ悟浄はビビる。……マジか、ネタとして言ったのに。確かに気持ち悪いが。
ごほん、と咳払いをして仕切り直すと悟浄は指を立てた。
「で、だな!
お前らは何が好きなんだ?」
コスプレは男のロマンだよな〜とニヤニヤする悟浄をゴミ虫を見るような目で見下ろしてから、八戒は少し考えこんだ。
「んー、そうですねぇ…僕はやっぱり女医さんですかね?」
「うぇ、八戒ってM…?」
おっかなびっくり自分を見やる悟空。八戒はにっこり爽やかに笑い返す。
「やだなぁ。強気に攻めてくるのを屈服させるのがいいじゃないですか」
((流石鬼畜…))
「何考えたんですか?」
「い…っ、いや、何でもないっ!ないって!」
「そうっ、悟空!悟空はどうなんだ!?」
般若を後ろに浮かべながら微笑む八戒から逃れる為に、悟浄は悟空に話題を振った。
「おっ、俺…!?」
悟空は唐突な振りに面食らう。
素直な反応に悟浄と八戒はニヤリと笑った。ガシッ、と両脇から肩を抱くと悪い顔で顔を覗き込む。
「ななな何だよ二人共…!?」
「いいねぇ、若いねぇ性少年っ!」
「悟空もお年頃ですよねー。ほらお兄さん達に白状してみましょうよ」
「お兄さんっつーよりオヤジじゃんか!!ええ…!?好きな……」
悟空は赤い顔で黙ると、やがて小さい声で呟いた。
「………………ナース?」
ナースひとつ言うのにも純朴な反応に、大人二人組はほのぼのして笑った。
「定番ですねぇ」
「ま、でもイイよなナース。俺も好きだぜ?」
「なな何だよ、馬鹿にしてんの!?ひでーよ二人共…」
「いや、何か久々に自分の薄暗さを実感したっつーか」
「嫌ですねぇ大人って。いつの間にこんな薄汚れたんでしょうか」
何かいたたまれない空気に耐えられなかった悟空は、二人を振り払った。
「〜〜〜〜〜〜〜っていうか!そういう悟浄は何が好きなんだよ!」
「え、俺?」
悟浄はニヤリと笑うと即答した。
「女教師」
聞いた二人の反応はそれぞれだった。
八戒はいつも通りの微笑みを浮かべる。
「あぁ、イイですねぇ。僕はどっちも好きですよ」
「お、女教師……」
再び真っ赤になって俯く悟空。おんなきょうし、という言葉が頭をぐるぐる回っているようだ。
八戒は以外とノリノリで話に乗った。
「言葉責めとかしたいですね」
「『教えてあげる…』的な余裕系も魅力的だけど、こっちから行って一杯一杯になるのもイイよなー」
「シャツにタイトなミニスカですよねぇ、スリット付きの」
「ストッキングは迷うよなー。肌色か黒か、網タイツか」
「僕は黒派ですね。破った時の肌とのコントラストが好きです」
「俺はー…網?隙間から指突っ込みてぇし、やっぱ見た目的に絶景だろ」
「う、うわー…」
具体的に想像したのか、悟空は頬に手を当ててうわー、と言い続けている。
「ま、やっぱ必須なのは眼鏡だよな!」
「汚したいですね」
ニヤ、とやらしく笑った八戒に、悟浄は吹き出して腹を抱えて笑った。
その後も散々馬鹿話をしていた三人は知らない。

麻雀の時から部屋の前で三蔵がマルボロを吹かしていた事を。
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