君がため

□忘れられない想い
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「晋助?何処行くでござか?」


「あァ。ちょっと江戸までな」


「江戸?・・・あぁ・・そう言えばそんな時期だったでござるな」



「しかし真選組もうろついている可能性もある。気を付けるでござるよ?」



「テメェは母親か。・・俺がそんなヘマするわけあるめェ」




晋助の言葉に小さく笑う万斉を横目で見ながら船を後にして江戸の町へと向かい








江戸のある場所へとやって来た高杉はその賑わう人込みの中に紛れ込むように進み。


何かを買うわけでもなくただその場の空気を楽しむようにゆっくりとした足取りで歩いていると、少し離れた場所にあるたこ焼き屋の屋台の前にいた人物に驚いたように目を見開いて







「・・・・・・悠・・?」






まさかこんな所で会えるとは思っていなかった人物なだけに高杉の驚きも仕方のない事だ


早くなった心音を落ち着かせた時、店を離れようとするのが見え慌てて追いかけるがまだ俺に気付く様子もなく・・気配に敏感なアイツが俺の気配に全然気付かないとは・・





・・・・・悠・・・・






もしかして長い間会ってねェから・・俺の事・・忘れちまったのか?








「悠」








どうしようかと悩んでいるうちに段々離れていく背中に覚悟を決めたように声をかけると揺れるアイツの肩と刀へと伸ばした手に無償に悲しくなった。




だがやっと俺の気配に気付いたのか、刀から手を離し振り向きざまに俺の名を呼ぶ声に俺らしくもなく嬉しくなっちまった・・







 
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