3年Z組
□白衣の男此処に在り
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現在8時10分前。
足早に校門をくぐる生徒の姿がチラホラと見える中のんびりと歩く1人の男の姿がその中に在り。
『ふぁ〜・・・眠ぃ・・』
「先生おはようございます!」
『おう、おはよ。お前等早く行かねーと遅刻だぞ〜』
「先生もだろ!!」
『先生はいいんだよ』
「ずりー!!」 「差別だ!!」
『うっせー。文句言う暇あるならさっさと急げ』
「「は〜い!!!」」
元気よく返事して走り出した生徒達を見送り再び欠伸をしながらのんびりと己も学校の校門へと辿り着いたのだが、そこには教師とは思えない顔をした学園主任兼体育教師(野球部顧問)をしている松平片栗虎が仁王立ちしていた。
「一之瀬〜。お前がギリギリに来ると生徒に示しがつかんと何度いや〜分かるんだァ?」
『遅刻じゃねェんだから構いやしないだろう』
「そ〜いう問題じゃねーんだよ」
『へいへい。次からは気を付けるって』
「その台詞昨日も聞いたんだがな」
そう言いながら早く行けと言うように顎で先を促す松平。
普段はかなりオチャらけているのだがこういった規則には何でか口煩くなる。
まぁ何だかんだで最後はこうやって見逃してくれるのだからあまり文句は言えない。
そうこうしてるうちに己の仕事場所でもある保健室へと辿り着いたのだが、昨日帰りに閉めたはずの扉が開いてるのに気が付き溜息ついた。
『・・・・オイ。此処はサボり場所じゃねーって何回言えば分かるんだ』
呆れ混じりの声でベッドのカーテンを勢いよく開けるとソコで気持ち良さそうに眠る人物が。
俺の声とカーテンの音で目が覚めたのか少し不機嫌な顔で見上げてくるソイツに二度目の溜息をついて
「煩ェな・・・。もう少し静かに起こせねーのか」
『勝手に入っといて偉そうに言うな。ホラ、さっさと教室戻れ』
「・・・・・・」
『・・・ハァ〜・・。一時間だけだぞ。それ以上はダメだ。それを守れn「守る」・・んじゃ二時間目が始まる前に起こしてやる』
俺の言葉に返事はしないものの、コクリと小さく頷く姿にクスリと笑って頭を軽く撫で、カーテンを再び閉め、面倒だが仕事に取り掛かるため机へと向かった。