君がため
□忘れられない想い
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『晋助・・・お前・・・何でこんな所に・・・』
「江戸に用があってな。此処に来たのはたまたまだ。・・・それにしても・・・久しぶりだなァ?・・・悠」
『・・・・・・・・・』
たまたま・・・か。
よくもまァそんな嘘ついたもんだ。
ま、コイツにゃバレてると思うが・・。
コイツに嘘ついて隠し通せた例がねェ。
「さっきの殺気といい。お前は昔と変わってねェみたいで安心したぜ」
『お前も・・・相変わらずだな。昔と何も変わっちゃいねェ。・・・いや・・・やっぱり変わった・・・か』
「俺ァ何も変わっちゃいねェよ。変わったのはこの世だ。何処もかしこも天人がうろついてやらァ」
『・・・・・・・・・』
「あの人を殺したこんな世界・・・いっそのこと壊した方がいいと思わねェか?」
そうだ・・あいつ等は勝手にやってきて勝手に俺等の大切な物を奪っていきやがった。
だから・・そんな天人も・・俺等を裏切った幕府の人間も・・絶対ェ許さねェ。
そんな俺の気持ちを悟ったのか何とも言い難い表情で俺を見つめてくる悠。
『・・・・・・俺は・・・・・・』
表情こそ先程から変わってねェが・・・コイツのこの表情は何かを迷ってる顔だ。
悲しそうで・・辛そうな・・色々な気持ちが入り混じったような顔・・。
コイツのこんな顔が見たかったわけじゃねェんだよ・・。こんな世があるからいつまで経ってもコイツは心の底から笑えねェんだ・・・。
それならいっその事・・・・・
「・・・悠・・・俺と一緒に来い。・・・俺ァお前が・・・」
「は〜い。そこでストップな」
俺の言葉を遮るように聞こえてきた声の主が誰だかすぐに分かってしまい、その少し焦った様子に可笑しくて喉の奥で小さく笑って振り返り