Un long morceau

□friend 一章、死神
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きっちりとオールバックで髪型を決めた男が、髪型が乱れるのも構わずに走っている。

彼は逃げていた。ただひたすら逃げていた。
後ろからはこの世のモノとは思えない唸り声がする。
そしてその声は段々と近づいて来ているのだ。
『追い着かれたら確実に殺される。』そんな予感がした。
しかしもう息も上がり、呼吸もままならない。
『もう、諦めてしまおうか…』そんな考えが一瞬頭をよぎる。
諦めてしまえば、どんなに楽だろう。
やはり痛いのだろうか…。
いや、きっとそんなに痛くない。
アドレナリンの影響とでもいうのだろうか?
もしくは痛すぎて何も感じないというオチだろう。
頭は『諦めろ』『止まってしまえ』という。
しかし、身体はそうは言わない。きっとどこかに『死にたくない』と言う感情があるからだろうか。
そんな事を考えているうちにもどんどんと唸り声は近づいてくる。
男の真後ろで唸り声がした。

「うあああああああああああああああああああああああ!!!」
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