☆Short story☆
□愛ゆえの重み
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「…遅い」
ユノはイライラした様子で、壁に掛けてある時計を見上げた。
時刻は夜。
外は真っ暗。
しかも今日は生憎の雪降りの日だった。
雪が周りの音を消してしまっているかのように、辺りはシンと静まり返っている。
テレビも消してしまっているユノにとって、ここは音のない世界。
だから余計に、気掛かりでならない。
「何してんだ、あいつは……」
もう一度時計を見上げ、何度目か分からない溜め息をつく。
その溜め息と同時に、玄関の鍵を開ける音が聞こえてきた。