☆Short story☆
□Virgin Night
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「あ」
チャンミンは、思い出したように部屋を見渡した。
「どうしたんだよ?」
ユチョンは顔を上げ、チャンミンの視線を追う。
「悪いんですけど菓子きらしてるみたいなんです。
ひょんのことだから。ハロウィンだからって菓子もらいに来たんですよね?」
「んー…そういうわけでも、無いんだよなぁ……」
ユチョンは急に声のトーンを下げて、ニヤリと笑った。
「…違うんですか……?」
チャンミンは頭をよぎった嫌な予感に、思わず後ずさる。
長い付き合いだから分かる。
ユチョンのこの表情は、何かよからぬことを考えているときの表情だ。
「…ボク、ちょっと用事を思い出し…」
チャンミンは逃げ道を作ろうと、そう言ってユチョンから距離を取ろうと試みる。
「まぁそう逃げるなよ」
立ち上がろうとするチャンミンの腕を引き、自分の方へ引き寄せた。
「ちょっ…!!ユチョンひょん…///」
チャンミンは顔を赤くしたまま、ユチョンの腕の中で暴れる。
「なぁ…そろそろいいだろう…?」
急に耳元でそう囁かれた。
ユチョンの吐息が首筋に当たり、不覚にも躯が反応してしまう。
「…でもっ…ボク……」
「怖いのか?」
優しく微笑んだユチョンに頭を撫でられる。
「……す、少しだけ」
大人しくなったチャンミンは、珍しく素直にポツリとそう呟いた。
間違いなく、目の前のユチョンを愛してるはずなのに。
まだ、体は拒否している。
「大丈夫だから…俺を信じて……?」
いつものふざけた表情とは違う。
真剣な、表情。
紡がれた柔らかい言葉に、チャンミンは目をつぶり、コクりと頷いた。