誰がために薔薇は微笑む
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その光景を見た瞬間、白亜の理性は焼き切れた
「何をしているのです!?」
「白亜せん、ぱ・・・」
「----ッ!!」
まだあどけなさの残る顔を腫らし、腕を折られた後輩
桃色の装束はボロボロで、その下に隠れる肌は赤や青に変色していた
「貴様等-----ッ!!」
それは、白亜を激昂させるには十分すぎるものだった
少女を押さえ込んでいた腕にクナイを放ち、男の胴体を蹴り飛ばす。
近くにいたもう1人の男に腕を振りかぶり、避けられたその勢いのまま右足で押しのけると
倒れこんでいた少女を引き寄せ背に庇う
「白亜、そいつを渡せ」
白亜が後輩の容態を確認しようとした時、最初に蹴り飛ばされた男---潮江文次郎が声を上げた
しかし彼女はその声に一切耳を貸さず、文次郎にクナイを投げ放つ
すると今度は、白亜のクナイにより傷ついた腕を舐めながら別の男が言う
「白亜ちゃん、そのくノたまは彼女を殺そうとしたんだ」
「何・・・・?」
言った七松小平太の拳には、背に庇う少女の物と思われる血液が付いていた。
「別れた恋人を天女に取られた、と逆恨みしたらしい。」
「・・・・・」
「あろうことかその女は天女を殺そうとした・・・ならば、それ相応の罰を受けてもらわんとな」
嘲り、嗤いがら話す立花仙蔵
白亜は怒りで吐き気さえ覚える身体を沈めながら、搾り出すように言葉を紡いだ
「この子を殺す、と?」
「そこまではしないさ」
警戒を解かぬまま、後ろの後輩を見やる
まだ幼さを残す少女は、腫らした頬を涙に濡らし、小さな身体を震わせながら必死に白亜の装束にしがみついていた
怒りは・・・目の前が赤くなる程に
2011.8.23