アマガミ!!
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「・・・怖い、と・・・思ったわ」
彼女の従兄弟がせせらぎの様だと絶賛するリオの声は、震えなかった。
その代わりに、蒼い瞳が傷ついたように揺らめく
「隠したりしない。確かにあの時私は燐君を・・・怖いと思った」
静かに紡がれていく本音はやはり、燐の心の弱い所を締め付ける
覚悟はしていた。
考えて、頭の中で想像もしていた。
だけどリオ本人から言われるその言葉の重みは
想像などで補えるものでなかった
「だけど・・・・」
「・・・・」
「だけどそれより私は、貴方を・・・燐君をもっと知りたい」
「----え?」
何時の間にか俯いていた顔
伏せていた目を上げると見えるリオの顔
それは想像していたような---恐怖に歪んだり、怒りを滲ませたものではなかった。
「知る・・・?」
「うん。私は燐君と一緒にいて、一緒にご飯を食べたり勉強したり、この前みたいに買い物に行ったり遊び行ったりしたいの・・・・これからも」
「俺が・・・怖いのに?」
「うん。怖いのに」
なんだか可笑しくて、笑ってしまう
クス、と笑い声を漏らして微笑んだリオの穏やかな表情に
燐は目を見開いた。
怖いと言った。
青い炎と驚異的な力が、怖いと言った。
しかしそれでも傍にいるのだと
傍にいたいのだと
そう言う人がいる。
自分の中にある恐怖を隠さず誤魔化さず、それでも燐を好きだという人がここにいる。
「俺も・・・俺も先輩と、一緒、に・・・飯食ったり、料理作ったり、勉強教えてもらったり、買い物行ったり遊びに行ったり・・・」
「うん」
「一緒に、いた・・・・い」
燐も笑った
それは少し失敗して歪な笑い方になってしまったけれど。
「じゃあ、約束」
「?」
リオが差し出したのは右手の小指
暫しその細い指を不思議そうに見つめた燐だったが
彼女の意がわかると、慌てて自分の右手を差し出した
「「指―切りげんまん、嘘ついたらー」」
絡めた小指
燐の目には、絡めた小指には何の糸も見えなかったけれど
「「指切った」」
それでも確かに、何かが繋がった気がした
2011/11/3