BASARA連載
□第二話 『入学式と熱い熱いクラスメイト』
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五分後。
「ま、迷った……!!」
私たちは、人気が無くてただっ広い廊下に立ち尽くしていた。
「ごめんね紅ちゃん……市のせいね…」
「ううん。これは私が壊滅的な方向音痴なせいよ」
「紅ちゃんの方向音痴を忘れていた市のせいね…」
うっ…もしかしてお市ちゃん、怒ってる…?
「だいたいここどこの校舎の何階?どこの廊下!?体育館どっち!!?」
私の叫び声が空しく廊下にこだました。
その時。
「お前たち、そこで何をしているんだ?」
声をかけられて振り返ると、金髪の絶世の美女がいた。
細くてしなやかな体。高い背。どこか妖艶な魅力のある女子生徒。
すごい……お市ちゃんもとってもかわいいけれど、彼女は濃姫さんみたいな大人っぽくて魅了されてしまいそうな美しさを持っている。
「同じクラスのかすがだ。……お前、城月紅だろ?」
「そうですけど、…どうしてここに?ていうか、なんで私の名前」
「ついさっき謙信さまに呼び出されて少し仕事をな…。お前の名を知ってたのは、猿飛と一緒にいたからだ」
「え、佐助の知り合いですか」
まさか、彼女さん……?
「ああ…そうだ。同じ中学で………何度殺してやろうと思ったかしれん!」
「……は?」
「紅、お前、猿飛にはあんまり近づくな。お前は可愛いんだから、もっといい男の傍にいろ! な!!」
「は、ハイ……」
思わずうなずいてしまった。中学の頃二人に何があったんだ。
「で、再度聞く。ここで何をしている?」
「……えーっとですね…迷いました」
「なら一緒に式場まで行くか」
「いいの!?」
天の助けだ!危うく校内で遭難するところだった。
「しかしこっちは式場と全くの別方向だぞ」
え、うそ。地図通りに進んだよ!?
「この学園は広くて迷いやすいからな。方向音痴にはキツイかもな」
私の体質を知らないはずのかすがは不敵に笑ってそう言った。
「……まじっすか」
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