BASARA連載
□第二話 『入学式と熱い熱いクラスメイト』
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教室は、みんな浮かれているのかやっぱりにぎやかだった。
「うぉぉおおお佐助ぇぇえ!今日の弁当は何だ!?」
「だーかーらー、今日は入学式だから弁当はないって言ったでしょ?」
「な、なんと…」
あ、さっきの六文銭の人だ。
それにしても一緒にいる人も派手だなぁ。迷彩柄のヘアバンドしてるよ。髪の毛オレンジ色だし。
「ええいうるさい貴様ら!さっきの謙信さまの麗しき美声の校内放送が聞こえなかったじゃないか!」
…うーん……このクラスで友達できるか不安になってきたよ。
お市ちゃんがいるから寂しくないけど、やっぱり新しい友達は欲しいなぁ。
「おい城月紅。なに突っ立ってんだ?隣に座れ」
『伊達政宗、どうしてあんたはそんなに馴れ馴れしいのかな!?』
そしてなんか変な独眼竜に気に入られつつあるし。助けてママ。
「政宗でいいっつってんだろ?オレはアンタが気に入ったんだ。初対面でこのオレに怒鳴ったのなんてアンタが初めてだぜ?」
『だからって付きまとわれる理由にはなんねーわよ。誰がアンタなんかの隣に座るか。授業に集中できんわバカ』
「オレの何が気に入らねェんだ?」
『ていうか、どうして怒鳴った程度で気に入られたのか逆に聞きたいわ』
最近日本で流行りの嗜虐趣味か?マゾなのかこの野郎。
勝手に被虐趣味変態野郎扱いされていることはつゆ知らず、私の言葉を聞いた政宗は、ニヤリと口角を釣り上げた。
「アンタ、自覚ないと思うが結構cuteな顔して――」
「あああああ!見つけましたぞ政宗どのぉぉお!今日こそ長年の因縁に決着ぅぉおお!」
「うるせえ!いま大事なとこなんだよ!」
紅い鉢巻の彼が話に割り込んできた。どうやら政宗と旧知の仲らしい。
と、私の視線に気付いたのか、その彼が私を見た。
「あ、貴殿は先ほどの…」
『あは、やっぱり目、合ってたんだねぇ。そうだよ。私は城月紅。よろしくね』
初めの挨拶は笑顔で親近感高く。コレ、海外で学んだ処世術だ。
「某は真田源次郎幸村!幸村と呼んでくれ。よろしく頼む、紅殿!」
「俺は猿飛佐助。――へぇ、結構カワイイ子だね」
幸村の後ろに控えていた迷彩ヘアバンドの人も声をかけてきた。へぇ、猿飛佐助っていうのか。
それにしても幸村って熱い人だなー……冷めてる感じの猿飛君と正反対である意味いいコンビかも。
しかも幸村、なんかイイ人っぽいよ。ここに来て初めての友達ゲットなるか!?
(オイ猿!テメェ何紅のこと口説いてやがんだ。それはオレが――)
(先に言うはずだった?ごめんねー、俺様、思ったことはすぐ口に出ちゃう正直な男だから。でも紅ちゃんほんと可愛いなー。彼氏いるのかな?)
(ぶっ殺されてえのか…?猿飛)
『そこ、何コソコソ言ってんの!?』
「「何でもないっス」」
全く……はっ!もしかして私の悪口か!?そういえば私、さっきから言葉づかい悪いし!!
ヤバい、嫌われた?
軽く落ち込んでいると、お市ちゃんが近寄ってきた。どうやら政宗たちのせいで近づきにくかったらしい。
「紅ちゃん……そろそろ式に行かないと…」
『あ、ほんとだ。もう時間じゃない』
教室の時計を見て驚く。まだ全然時間あると思ってたのに。政宗や幸村のおかげで時間が早く過ぎた気分だ。
『じゃあ行こうか、お市ちゃん』
「待て、オレも一緒に…」
ついてこようとした政宗にデコピンをくらわせて、ぴしゃりと言いつける。
『集合場所は男女別々でしょうが。あなたは幸村や猿飛君と行きなさい』
「紅ちゃん。佐助でいいよ」
『うん。じゃあ幸村、佐助。あと伊達政宗。体育館でね』
「なんでオレだけfull name!?」
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