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□くるりくるり
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くるりくるり
部屋の真ん中で体を回すずっと天上を見続けて、その茶色の木目が分からなくなり始める
そうなるともう足はふら付いてきて、体は受身もほどほどに畳へと転がった
回転を止めてもまだ天井は木目をはっきりと認識できず、ぐわんぐわんと歪んでいた
襲い掛かる頭痛に眼を閉じた


(何をしているのだろう)


突拍子もなく始めたこの行為を後悔した
何をしたかったのかもわからず、ただただ頭痛に耐えていた

すると少し遠くからだろうか、真田の声が聞こえた


「政宗殿―」


遠くからでもはっきりわかる声量だ
しかし返事をしようにも頭痛がそれを拒む

「政宗殿?ここにおられましたか」

返事に難儀しているうちに真田はやってきた
何回か曲がり角があっただろうに一直線にくるとは


「・・・よく、わかったな」
「?・・・そうでござるね…勘と、申しましょうか?」


勘、ねぇ
実はコイツは犬で、嗅覚を頼りに見つけたんじゃねぇかと思ったりする


「それよりこのようなところで何も敷かず寝ておられるのは何故でござるか?」


真田は顔を覗き込むように座った
この体制は少し違うが、夜の情景を思い出してしまい小恥ずかしい
横の髪が重力に従いハラリと零れた


なにも答えずにまじまじと自分を見る政宗に違和感を感じたのか、幸村は尋ねた


「もしや、どこかお体の調子が悪いので・・・?」


心配という声色で聞かれて、はっとした

(今すごく恥ずかしいこと考えてた・・・!!)

今にも赤くなりそうな顔を横へと逸らし、ぶっきらぼうに答えた


「ah―あれ、その、少し頭痛がして少し横になっていたんだ、だがもう・・・」
「真にござりますか!?」
「!!?」


もう大丈夫だ、と答える前に真田が顔をつかみ目線を合させられた
そして叫びにも近い声で心配を露にした
その衝撃と驚きに顔の赤みが引いたのは幸いだった


「なぜそうと早く・・・!少しお待ちくだされ今布団を・・・いや医者を!」
「いやいやまった大丈夫だから!wait!Please!」
「し、しかし・・・!」


今にも医者どころか小十郎のところへ走っていかんとする幸村を止める
しかしそのときにガバリと突然起きたため、さらなる頭痛に襲われてしまった


「あーもう真田Stop!」
「ま、政宗殿…?幾分か顔色がさらに悪く・・・?」


再び畳へと体を預け、眉間を押さえながら幸村にを睨む
それがさらに顔色が悪いように見えてしまい幸村の不安を煽っていた


「大丈夫だから・・・ちょっとふざけていてクラついただけだ」
「と、言いますと・・・?」


真田は本当に大丈夫なのだろうかと、心配していてくれてるのだろう
だが原因を話すのは恥ずかしい…
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