短編

□くだらない理由
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「桜…」

「んっ…」


布団の中、宮田さんが私に口づける。最初は優しく。だけど段々と、その行為は激しくなってきて、彼の手が、私の胸を触った。


「だ、だめっ!!」

「…………はぁ…また、か」


私が宮田さんの腕を掴むと、大きな溜め息を吐いて、私を見つめた。
そう、《また》なんです。
昨晩も、その前の晩も。その前の前の晩も、私は、今から行われようとしている行為を拒んでる。


「いい加減、そこまで拒む理由を教えてもらえませんか」

「え…、と、その、」


別に初めてと言うワケじゃない。行為が嫌なワケでもなくて。


「い、良いから、駄目なんです!ほら、明日も早いんだから寝た寝た!!」

「…………。」

「な、何ですかその目は…無理やりやったら、神代に言いつけますよ」

「別に」

「エェェェェ、少しは怯んで下さいよ!」

「はぁ…。……おやすみ」

「お、おやすみなさい…」


私の頭を一撫ですると、私に背を向けて寝てしまった。
…なんだか申し訳ない気がしてきちゃったな…。
そう思いながら、私も眠りについた。








* * *


翌日。
また夜になって、おやすみなさい、と電気を消すと、
宮田さんが私の上に馬乗りになってきた。


「ちょ、っと!?」

「さて。そろそろ降参してもらおうか。」

「や、やめてー!降参するのは宮田さんでしょ!」

「嫌がる理由がそれなりの事なら、俺も引き下がろう。
…馬鹿みたいな理由なら、」

「ば、馬鹿みたいな理由なら…」

「犯す」


ギラついた瞳で私を見下す彼は、まさにドSの化身にしか見えない。
そろそろちゃんと理由言わないと犯される。いや、マジで殺されるかも。
そう思った私は、嫌々ながら口を開いた。


「────から、」

「聞こえませんね」

「お腹鳴ったら恥ずかしいから!!」


そう、私は一番最初の経験の時に、不覚にもお腹をグウゥと鳴らしてしまったのだ。(緊張するとお腹鳴るんです)
その音で場の空気崩壊。相手はやる気を削がれ終了、と言う絶望的な事を味わった。
それが怖くて今までYESと言えなかった訳だ。
ああ…なんて正当な理由なんだろう。



「さて、俺もそろそろ我慢の限界なので」

「わ、わぁあ!?何してるんですか!」

「何って脱がしてんですよ」


ルームウェアのチャックを下ろされ、半ば強引に脱がされる。そして、ズボンまでもがあっという間に脱がされてしまい、
私は今キャミと下着のみという、恥ずかしくて死にそうな格好をしている。


「み、宮田さ、ん…」

「腹が鳴ろうが何だろうが、…お前に対する俺の気持ちは変わらない」

「、ん」


ちゅ、と唇が触れれば、宮田さんの手がキャミソールの中へ。お腹をなぞりながら、段々と上に上ってくる。


「恥ずかし…」

「初めてじゃない割には、初めてみたいな反応だな」

「い、いつだって恥ずかしいものなの!」

「ふっ」


いっそ、俺が初めてだったらな。なんて呟く宮田さんが愛おしくて、今度は私が唇付けてみると、一瞬固まり、
今まで私の胸にあった手が、一気に下へとおりてきた。


「なっ!?」

「今のは反則だ」

「、っあッ!」


下着の上から突起を刺激されれば、身体がピクンと反応する。何度も擦るように触られ、何かが込み上げてくる感覚に襲われる。
私は何とか彼の指の動きを止めようと腕を掴むけど、逆効果で。
下着の隙間から侵入してきた彼の指が、遂に私の中に。


「ひ、ぁんっ!」

「分かりますか、桜の此処が、どれだけ液で溢れてるか」

「わ、かんなっ、い…」


指を色んな角度に動かされると、その度クチュクチュと水音が耳に届く。


「あ、あっ、みや、たさ……っんっん、」

「どうされたいか、言ってみろ、桜」

「宮田、さんの、入れて…っは、ぁっああ…」

「名前を」

「んっ、え…?」

「名前を呼んでくれないか、俺の」


いつの間にか、熱を持った宮田さんのソレが、私の蜜口に当たっていて、少しずつ、ゆっくりと中へと入ってくるのが分かった。


「─んっ、みや、っ…………し、司郎、さんっ…」

「っ……痛くないか…?」

「大丈夫、ですっ」

「そう、か…」


彼のものが全て入り、一息つけば、またゆっくりと、抜き差しを繰り返す。
そのスピードは徐々に早まって、お互いの熱を上げていく。


「あっあっ、ひぁっ、あ!司郎、さ…っぁあっ」

「っ、桜……っ」

「ぁっ、はぁっ、や、あぁんっ!」

「…桜…───っく、ぁ…」


突然、ズルリと中から抜かれたかと思えば、私のお腹の上に温かい液体が広がったのが分かった。


「っは、…はぁ…」

「ん……っ、なん、か…結構、量多い…ですね…?」

「誰かに、おあずけを…くらってたからな…」

「ぅ………」


宮田さん……基、司郎さんが近くにあったティッシュで、お腹に広がるソレをヌグい取る。


「汗、かいてますね」

「司郎さんも」

「…風呂でも入りますか」

「そうですね!あ、でももう今日はこういう事無しの方向で…」


私がそう言えば、司郎さんはただ黙ってニヤリと笑うだけだった。









(無しの方向って言ったじゃないですか!)
(男は狼なんですよ、気をつけて下さい)




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