長編

□謎の秘祭
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「すみませんでした……」


私の家があったと思われる場所に到着して早々、
私は頭を深々と下げた。

うん、家が無かったんです。

いや、正確には、家が壊されていたというか、古くなって壊れてしまったのか。元々古い家だったけれど…。
とにかく、寝泊まり出来る状態では無いという事だ。


「まぁ良い…。あまり期待はしていなかったからな」

「どうするんですか?まさか、野宿ですか?虫にくわれそう〜…」

「虫除けスプレー持ってくれば良かったね…」

「ていうか、ココどこなんですかぁ?」


依子の言葉を綺麗にスルーして(先生に、この村について黙っておけと言われた為)
どうしたものかと悩んでいると、竹内先生が、車に戻ると言い出した。
なるほど、車で夜を明かすわけですね。野宿よりはよっぽど良いと言うことで、私達は車へと来た道を戻った。


* * *


     上粗戸/眞魚岩
初日/23時09分46秒




私は一人、用を足すため丁度良さそうな場所を探していた。
やっぱり、村の人に頼んで泊めてもらえば良かったんじゃ、なんて思っていると、
少し先に明かりが見えた。そして、不気味な歌声も聞こえる。

なるべく音をたてないように、ゆっくりと、こっそりと歌の聞こえる方へと向かった。



「─なに、これ」


村人と思われる人達が集まり、 何か─…まるで儀式の様な事をしている。

そういえば、竹内先生が言っていたっけ。この村では、秘祭が行われている、と。竹内先生が今回この村に来た理由は、この秘祭について調べる為。



急いで竹内先生に知らせようと、来た道を戻ろうとした時だった。

─パキッ


「─あっ…!」


「誰だ!!」






-続-


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