迷い道

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しばらくの間はあやめも大人しかった。
ずっと仙蔵が傍にいるからと言う理由だけではなかったようだが。



このところずっと考え事をしているようで、一日ぼーっとしている事が多かった。





そんなある日の夜、寝ている仙蔵の隣でごそごそと音がする。
普段から敏感なのだが、最近は特に過敏になっているようで、衣擦れの音で目が覚めてしまった。


異変に気づき戸口を見ると、ちょうどあやめが部屋を出て行くところだった。



「どこへ行く?」



「・・・・厠に行くだけ。」



「・・・私も行こう。」


仙蔵は暗がりの中、あやめが寝ていた布団に寝間着が脱ぎ捨てられているのに気づいていた。
彼女が小袖姿だと言うことも。


どう答えるのかと返答をまっていると、突然中庭を突っ切って走って行ってしまった。

急いで私服に着替えて後を追う。
この時、変装の成績が良くて良かったと心から思った。











学園の塀を越えたあたりであやめの姿を確認し、そっと後をつけると、ついた先は町中。
そこであやめは一人の男に声をかけられていた。



「お姉さんいくらなの?」


男はすっと指を何本か出したあやめをじっと見て、それならいい。と手を引いてどこかへ連れて行こうとしている。


娼の真似ごとか・・・。仙蔵は苦虫を噛み潰したような顔で二人に近づいて行った。



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