巡る道
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「あれ、勘ちゃんどっか行くの?」
「おー。あやめと出かけてくるー。」
じゃあなー。と、驚く兵助に手を振って待ち合わせの門へと急いだ。
「よお!」
すでに待っていたあやめに手を上げると、名前を呼んで手を振って来た。
「行こうか。」
「うん。」
街道を色々話をしながら歩いているのだが、手の甲が触れそうで触れない。
そんな距離がもどかしくて、ほんの一寸だけ近寄った。
「手、繋ごう。」
「へ?」
少しびっくりした顔で見上げてきたあやめに、平静を装ってどうしたの?と首をかしげてみる。
「ほら。」
「あ、うん。」
若干の違和感を感じながらも、嫌だ。とは思っていないらしく、あやめは差し出された勘右衛門の手をそっと握り締めた。
だがすぐに、するっと指の位置を変えられ、あやめの指に絡めてきた。
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