巡る道
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「文次郎来たよー。」
会計室に着いたあやめが見た光景はまさに修羅場。
必死で算盤を弾く委員会のメンバー達。
「修羅場中にうさぎ飛びなんかするなよ。」
先ほど図書室から見た無駄とも思える行動に突っ込んでみる。
「体力作りのためだ!いいから手伝え!!」
「やだ。絶対にやだ。」
文次郎の机の前にトンと座って、徹夜二日目で隈の酷くなった顔をじっと見つめる。
「何でだよ!」
「何で上から目線なの。手伝って欲しいならそれなりの態度ってもんがあるでしょー?」
にやーっと笑って見るあやめに、こいつは。と顔を引きつらせる。
「ったく。終わったら団子奢ってやる。」
「好きなだけ?」
「ああ。だから早く取りかかってくれ。」
「任せといてー!」
懐から算盤を取り出し、文次郎の隣に座って帳簿の計算を始める。
元々数字に強いと言うのと、親の教育のお陰か器用だからなのか算盤を弾く速さが人並み以上だったので、こうやってよく修羅場の会計委員会に呼ばれては手伝いをしていた。
「文次郎これ。」
「ん?ああ、これか・・・。」
途中、一応会計委員ではないあやめには理解出来ない物も時々出てくる。
その度に隣の文次郎に指示で扇いでは先へ進めていくのだが、ちょうど文次郎が説明をしようとした時、来訪者がやってきた。
「し、失礼しまーす・・・。」
遠慮がちにそっと障子を開けたのは、先ほどまで一緒だった勘右衛門。そしてその後ろからこっそりのぞいているのは兵助だ。
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