巡る道
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「俺・・・・ギンギンになるよ、勘ちゃん・・・・。」
「兵助えええ!しっかりしろって!先輩を疑う前に確認だ!いいか?」
遠い目をしてギンギン野郎を目指そうとしている兵助の肩を掴んで思いきりガシガシと揺さぶるが、へらっと一度笑っただけだった。
「あれ、勘ちゃん?」
「らいぞおおお!!いい所に来た!兵助なんとかしてくれ!」
「いったい何があったんだ?」
後ろから三郎もやってきた。
八左ヱ門は委員会に行ったらしいので、二人に先ほどの事を話して聞かす。
「兵助の思いこみだろ?」
「そうだよ。潮江先輩とはただ単に仲がいいだけでしょ?」
「確かに前から仲は良かった!委員会を手伝うのだって何回もあったし。でも今までと今とは違うんだよ!!」
全ては、図書室であの憂いたような切ない視線を送るあやめを見てしまってからだ。
「ずっとこの調子なんだよ。ギンギンになるって言って聞かないし。」
「兵助にギンギンは無理だろ。」
「三郎、そう言う問題じゃないと思うよ。」
呑気な二人に、勘右衛門は頭を抱える。
八左ヱ門でもいれば。と一瞬思ったのだが、こういう事に関しては三郎と似た思考回路を持っていたかと思い直していた。
「俺、夜行ってくる。委員会の邪魔しなかったら居てもいいよな!?大丈夫だよな!?」
兵助の勢いに、三人はコクコクと頷く。
毎回、あやめが参加した時は彼女の強制執行によって文次郎以外のメンバーはみんな睡眠を取るように言われる。
そうなると部屋には二人きり。
もちろんその事を兵助は知っている。
二人きりになんてさせてたまるか。
この一心で、普段は絶対に立ち入らない夜の会計室へ行こうと言うのだ。
愛しいあやめを取られるくらいなら、怒られたって構わないと意気込んで。
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