巡る道
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「それがね、この間先輩にすっごい謝られちゃって。私と恋仲って知らなくて色の実技の標的にしちゃったって。すぐに騙せたから誰とも付き合ってないと思ってたんだって。で、聞いたら私が気が逸れてるなーって気づいた日かららしくて、原因が分かったからもう好きにしてやって下さいって言っといた。」
それを知らずに一人で一生懸命二股かけてるって思いこんでるんだから。と、あやめは尚も楽しそうに笑っている。
「くノ一って、いや、女って凄いな。」
もう苦笑いを返して関心するしかなかった。
休日から少したったある日、偶然例の二人を見かけてしまった。
そしてその少し先にあやめの姿。
二人をチラッと見ると、目を伏せてパッと視線を逸らして走り去って行った。
ああ。あんなことを言ってたけど、本当は辛いんだ。
そう気づいた勘右衛門は、また胸の奥がキシッと痛むのを感じた。
「俺なら泣かせたりしないのにな。」
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