巡る道

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湯呑をぐっと握りしめて少し悲しそうな顔で笑ったあやめは、勘右衛門ではなく通りを流れて行く人をじっと見つめていた。



「処分したって・・・理由、聞いてもいい?」


「うーわーきっ!されてるんだよねー。だから別れようかなって思って。」


最低だよねー。と何でもない風に言うが、先ほどの表情から考えれば未練があるように思える。


「でも、まだ好きなんだろー?」


「あっはは!まさかー。なんて言うか、悲しいより悔しい。」


未練。ではなく、ちょっとした引っ掛かりのような物だとあやめは言う。だが、先日の昼間見た二人の光景はとても仲が良さそうに見えた。



「じゃあさ。なんで腰に手とか回されて平気な顔していられるんだ?」

先日見た時は嫌がるそぶりも見せていなかった。


「内緒だよ?今ね、泳がせてるの。他に気になる人がいて、今日だってそっちにいってるんだよ。その人と私を天秤にかけてるんだよね、あいつ。だから、今は知らない振りしといて私も好きな人見つけて振ってやろうと思って。」


女は強い。と言うけれど、どうやらそれは本当のようだ。



「その他に気になる人ってさ、六年生じゃない?」


「そうそう!知ってるの?」


勘右衛門は、先日その二人が裏庭で逢引きしている所を目撃したことを話した。


「そうなんだ。でもそれね、先輩の色の実技テストなんだよ。おかしいでしょ。それに引っかかってるの。」


「え、色なの?」

クスクスと楽しそうに笑って経緯を説明しだした。




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