迷い道
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びっくりした三郎は掴んでいた手を緩めてしまった。
あやめはヒュッと手を勢いよく引っ込めると、掴まれていた所を片手で押さえて走って行ってしまった。
「あいつ・・・何であんな悲しそうな顔してたんだ・・・。」
伸ばしたままだった手をゆっくり下ろして、三郎は小さな声でぶつぶつと自問自答を繰り返し出した。
とぼとぼと食堂へ行き、ぼーっとしたまま昼を食べる。
「なあ、あいつ何で泣いてたんだ?」
「俺達に聞かれても。」
「でも・・・そうだよね?あやめちゃん凄く悲しそうな顔してた。」
「・・・・・三郎。お前ちゃんと謝れ。んで、ちゃんと好きだって言えよ。」
「うーん。兵助の言う通りだよ三郎。これ以上放っておいたらもう修復出来なくなるよ?」
「いいんだよこれで。私は素直になんてなれないし、それに・・・初恋は実らないんだろ?」
「それなら言うだけ言って振られろ!実らないって思ってるならどっちだって一緒だろ!?」
ぐったりとする三郎に業を煮やした兵助が一喝した。
じとっとした目で兵助をチラッと見たかと思うと、机に顔を伏せてそのまま動かなくなってしまった。
「ったく三郎ってこんなだったっけ?」
「あやめちゃんに関してはねー。」
いつもの三郎らしからぬ態度でうじうじと悩むその姿に、四人は盛大にため息をついた。
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