短編・番外編
□水遊び
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詰め寄ってくる理事長の顔が、恐い…!!!
「いい加減にしてくれないと、本気で怒りますよ?フェレス卿…。」
アスモデウスがファウストの背後で怪しいオーラを放ち始める。
表情は曇り、目だけが獣の様な目になっていた。
この人たち、やっぱり悪魔だァァァァ〜〜〜!!!!!
綾は胸の中で声にならない叫びを上げていた。
――― 今日は泉で身体を清める日。
理事長と来た日から、ちょうど3日目。
「理事長…、もう私一人でも大丈夫ですよ?この人も、アスモデウスさんもいるし…。」
「だから来たんじゃないですか。いいから、綾さんは気になさらずに、身体を清めてください。」
「はぁ…。」
首を傾げて、しかも生返事で返してしまった。失礼だったかな、と伺い見た理事長は、草原の上に大きなパラソルを差し、リクライニングチェアに寝そべり、どこで買ったんですかと聞きたくなるようなサングラスをかけ、まるでそれは、そう、バカンスを満喫しているような、トロピカルジュース片手に携帯電話(恐らくゲーム)を小刻みに動かしていた。
「ど……どこからあんな物を…?」
開いた口が塞がらないというのは、この事なんだと胸に刻んだ。
「気にする事はないよ、フェレス卿の事は放っておいて、済ませてしまえば?塾があるんでしょう?」
気がつけば、隣からアスモデウスがニコニコと笑いかけていた。
この人の笑顔って可愛いなぁ。人じゃないんだけど…。
同じようにニコっと笑い返すと、頬を赤らめてそっぽを向かれてしまった。
「あ、あれ?」
「き、気にしないでいいから、全然…!!」
「あ…、はい。」
液晶画面から視線を逸らし、メフィストが冷ややかな目で綾とアスモデウスを見ていた。
「(いつの時代の中学生ですか…まったく、イライラしますね…。大体アスモデウスはどれだけの経験があると思っているんでしょうねぇ…。何を今更……。綾も綾です!私を差し置いていい雰囲気になるとはっ!!不愉快です!……こうなったら、フッフッフッフ…。)」
あ、理事長が一人で笑ってる…恐い…。