短編・番外編
□秘すれば華
1ページ/5ページ
部屋の扉が、ゆっくりと開く ――――― 。
「…おや…。こんな夜更けに…、どうしましたか?」
綾が、ふらりとメフィストのいる窓辺まで足を進める。
「…理事長…」
はらはらと、綾の瞳から涙が零れ落ちる。
「これは困りましたね…。愛らしい瞳からそんな美しい涙を流して…」
綾はメフィストの腕にそっと縋りつく。
「綾……。あなたはもう休まなくてはいけない時間ですよ?こんな所に来たら、貴女を食べてしまおうと企んでいるモノの思う壺ですよ…?」
そう言ってメフィストは綾の頬を両手で、壊れ物を触るように触れる。
綾の潤む瞳を、メフィストは深く見つめる。
溶け合うように二人の目線が絡み……、
その行為は唐突に始まる ―――――― 。
.