陽射
□陽射 《再会》
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目覚めはいつも気だるくて、それでも窓から見える景色を見れば自然とその日の成す事を条件反射に行える。
時間に追われ部屋を出た。
扉を開ける。
マリは、暫く受けていなかった外気に立つ。
何故かふと、目を閉じたくなって、目を閉じて深呼吸をした…――――…。
―――――――…“ここ”は…自分とは関わりの無い『世界』…。
いや…、ある意味、深く深く…より深く、“私”が求めた場所…。
「(あるのはただ…。)」
マリは手を胸に当てて、ニタリ、と嗤った。
目の前に停まった妙なピンクのリムジンから、さらに妙なシルクハットのピエロが降りてきた。
「おはようございます☆良い朝ですなぁ!」
ヨハン・ファウスト5世。正十字学園『理事長』――。
やたらと背が高い…。
それだけ、『妙寺 マリ』が低いということ…。
ふわりと微笑んで、口元に手を当て内緒話をするような格好をすると、メフィストも『?』の表情をすると薄く微笑みながら身をかがめてきた。
その耳元に、そっと囁く。
「顎髭は嫌いだわ。」
「……。」
至近距離で、視線が交じり合う。
メフィストは姿勢を元に戻しニヤリと笑うと、清々しく言った。
「――…では、参りましょう☆」
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