魔法科高校の劣等生

□九校戦編1
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その後、内定メンバーで競技決めが行われた。

達也は棒倒し、ミラージ、スピード・シューティングの女子の3競技を担当することになった

1年女子のからの強い推薦(主に深雪)もあって、作戦スタッフや練習も手伝ってくれるそうだ。

残念ながら私の出場はそれ以外。バトルボードとクラウド・ボールになった。

理由としては二つある。

一つ目に私は自分のCADくらいならば自分で調節できる。
達也ほど高速かつ、精密にはできないが、達也からすれば十分だと褒められた。

古式魔法の現代魔法への転換や起動式の無駄な部分を指摘してもらったり、分からないことは助言してもらっている。


私だって万能ではない。
特に、今回は魔法の“競技”であり、戦闘ではない。

ただ相手を倒せばいいのではなく、定められたルールが多数存在する。

限られた中でどう魔法を組み合わせていくかが、どのように力を配分するかも勝敗を左右する鍵になってくる。

一応念のため、バトルボードは中条先輩、クラウドボールは和泉先輩のお世話になることになった。


二つ目に、私と深雪の戦力分散だ。

ほぼ実力が拮抗していると言われる私達。

同じ競技にして、1位2位で表彰台を取るより別競技で1位をそれぞれ取った方が点数効率はいい。

新人戦の得点も半分とは言え、総合優勝には関わってくる。

深雪は非常に残念そうだった。私と同じ競技かつ、達也に担当してもらいたかったようだ。

本音では私も達也に調整をお願いしたかったが、競技が被っている以上、可愛い妹に譲ってやるのが姉の性分だろう。

「深雪はどんな衣装にするのかしら?」

深雪が出場する女子のアイス・ピラーズ・ブレイクは毎年ファッションショーと名高い。

衣服の規定は『公共良俗に反しない事』のみであり、見た目の美しさが点数に換算されることはないが、メディアも観客としても美味しいところなのだろう。

深雪がリビングで電子ペーパーの雑誌を見ていたので、おそらく衣装決めをしていたのだろう。


「その・・・・・・お姉様は御実家で、巫女用の緋袴を着ていらしたでしょう?
私も是非着てみたいと思ったのですがどうでしょうか」

深雪は少しためらいがちに私に聞いた。

「あら、良いと思うわ」

「本当ですか」

私が同意を示すと、深雪は嬉しそうに微笑んだ。

「ええ。深雪は何を着ても似合うけれど、清廉な様子が際立つと思うわ」

「ありがとうございます。
それで、申し訳ないのですがお姉さまが着ていたものを貸していただけますか」

実家では巫女の手伝いをすることもあり、個人用に緋袴を持っている。

流石にこちらに来て使うことはないため、実家に置いてある。

「私の?深雪に合わせて誂えなくてもいいの」

「お姉様のものがいいのです」

お古でいいのかと聞こうと思ったが、新しく買っても深雪が着る回数もそう多くないだろうし、あの袴はお婆様のお手製であるから箪笥の肥やしにしておくには勿体ない。

「分かったわ。家に連絡してみるわね。必勝祈願も掛けてもらわなくちゃ」

「それは心強いです」

私の方が若干背は高いが、数センチの差だから困ることはないだろう。

細部は送られてきた後に調整すれば問題ない。

私の実家は深雪も可愛い義妹としているので、このお願いははむしろ歓迎されるだろう。

正式な魔法儀式でもないし、多少髪飾りや装飾も付けても良いだろうと可愛い妹を見て思った。




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