青の祓魔師 長編

□第八話
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そして時が経て、今日は入学式。


あの日からわたしは改めて猛勉強した。
祓魔師になるのは諦めとったけど、祓魔塾の講師をするには祓魔師の資格がいるから。

ちなみにメフィストからの生活費は二千円札たった一枚のみ。

こんなんで生活出来るわけないやろ。
と、いうことで復習(特に悪魔薬学)をした。
そして、努力が実ったんか運がよかったんか分からんけど、晴れて祓魔師になった。

合格ラインギリギリやったけど。

どうやら悪魔学が満点、グリモア学が九十八点、最低点である悪魔薬学は四点。
さすがやでわたし。いろんな意味で。

余談やけど、フィアナは一切教えてくれへんかった。


【妾が教えて衣織が合格するのは当たり前じゃ。それじゃぁつまらんからのう。】


これが理由。

なにはともあれ祓魔師になり、今は入学式の真っ最中なのである。
まぁぶっちゃけ、雪男が入試トップだって聞いてすぐ寝たんやけど。
だってなんか負けた気分やん。
祓魔師になるのやかて先越されたし。

昔はあないに泣き虫やったのになぁ。
燐とわたしが雪男を守っとった。
せやのに今じゃ・・・


「奥村くんって何科!?」

「えっ・・・と、特進科・・・」

「えぇっ!?やっぱりー。」

「身長高いよね〜!」

「かぁーっこいい!!」


眼鏡で頭良かったらモテるんですかぁ!?
くっそマジふざけんなよ眼鏡。
確かにわたしも眼鏡好きやけど、お前の眼鏡は気に食わんわ。

せやから雪男に話しかけるのはやめた。
入学式が終わりみんなが集まっているので、燐もどこかにいるはずだ。
今ここで、わたしの存在を把握してもらわんと。

キョロキョロ辺りを見る。
ちなみに竜士たちとはさっきはぐれた。

迷子やないで。迷子やない。
竜士たちがどっか行ったんや。


『燐どこにおんねん・・・』


俯きながら独り言を呟くと、まるでそれが合図だったかのように
誰かがわたしに声をかけてきた。
声、といっても「・・・え、」としか言っていないのだが。

しかし、その声は少し聞きなれた声だった気がしたのだ。
だから顔を上げた。
そしてそこには、ほんの少しだけ見慣れた人物がいたのだ。


『・・・りん?』

「は!?・・・え、なんで俺のこと知ってんの!」


え、わたしやて気づいて目の前に立ったんやないん!?


『そっちこそなんでわたしにを見て声出したんや?』

「あ、いや・・・俺の幼馴染に似てて一瞬焦ったけどそいつもういねぇし。
 それにあいつ、髪伸ばすような女っぽい奴じゃねぇから・・・」


女っぽくない、やて?わたしが?
わたしかて、髪くら伸ばしたかったわ。
せやけど髪伸ばしたら乾かすとき大変やん。
自然乾燥できへんからや。
勘違いせんといてほしいわ。

【その考えがもう女っぽくないじゃろ。】

ちゃうちゃう!わたしだけやない。
女の子ならみんな思うとるで・・・たぶん。


「それよりお前誰だよ!なんで俺の名前知ってんだよ。」

『せやかてわたし衣織やもん。』

「は!?」

『京都におったさかい京都言葉やし、髪も長いし、胸も大きくなっとるけど
 藤本神父に燐と雪男と一緒に育てられた天園衣織や。』


自分で言っとって恥ずかしくなってきたわ。
魔性の女になるいう夢は早々に諦めた。
幼い顔立ちのわたしにはムリやって、あの金兄に言われてもうた。
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