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□あと何歩
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それからすぐに購買から戦利品を持ったメンバーがそろい、みんなで昼食タイム。


「ね、中山。なんかうれしそーだね?」

「そ、そう?」

「なんか良いことでもあったのかァ?」

「胸デカくなったとか!?」

「マジでっ?!」

「ち、違うから」

ニヤニヤしながらみんなが覗いてくるので、居たたまれなくなってそっぽを向いて食べることに集中する。

昼食を終えて、ダベりタイム。A.Tを磨いたりしながらふとカズくんが言う。

「そーいやぁアギトの奴、また寝てんのかなぁ」

「いっつも1人でどっかいっちゃうもんね、アイツ」

「飯も食わずに何やってんだろーな」

みんなもアギトくんが気になるのか、悪口ともとれる心配の声が上がる。

いつもちゃんとご飯食べてないのかなぁとかボーッと考えていると、不意に後ろから声がした。


「おい」

「え…?」

振り向くとそこにはさっき渡したお弁当箱を持ったアギトくんがいる。

「ん」

突き付けるようにお弁当箱を渡される。
受け取って気付いた…箱の軽さ。
(食べてくれたんだ)

「あの、美味しかった?」

横から「アギト、いつの間に?」や、「中山が作ったの!?」と聞こえて来るが、無視して恐る恐る聞いてみる。
不味いって言われたら確かに凹むけど、でもやっぱ感想聞きたいし。

「…まぁまぁ」

「そっか」

(不味く…は、ないって事だよね?食べてくれたみたいだし)

「……明日も持ってこい」

「!」

それだけ言って、颯爽とA.Tで走り出してしまった。

「え?なになに?何があったの?」

エミリの声に答えることも出来ず、赤くなる顔を手で覆う。

(また、作っても良いんだ)
明日はもう少し勇気を出して、

(一緒に食べようって誘ってみようかな)

一歩ずつ彼に近付いて行こう
そしていつか、隣に並べますように。









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