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□あと何歩
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チーム小烏丸のサポーターとしてみんなのお手伝いというか、雑用をしてるけど…


(未だにアギトくんとの距離が縮まってない気がする)


会話はもちろんあいさつだって、たまにしかしてくれないし。

買い出しとかタイム測ったりしながら考えるのは彼のことばっかりなのに、肝心のアギトくんは練習中も寝てるかイッキくんやカズくんのトレーニングに夢中で私の事なんか、居るかどうかすら気付いてないと思う。


だけど、今日こそは
彼に近づいてみたくて


「中山っ!お昼買いに行こーよ」

「あ、今日あたしお弁当だから」

「ふぅ〜ん…じゃぁ先屋上行っといて。私カズ様と購買行ってくる〜!」

午前授業が終わってエミリが誘いに来てくれた。
いつもなら飲み物を買いにあたしも行くんだけど…


「安達ィ〜置いてくぞ」

「待ってカズ様っ」

「なぁ安達、お前500円持ってねぇ?」

「カラスに貸す金はない」

「いや、借りるんじゃねぇ。下僕は偉大なる俺様に寄付しろ」

「余計イヤだから!」


騒がしい仲間達を見送って屋上に向かう。


2人分のお弁当を持って。



キィィ―

少し重たくて頑丈な扉を開けると、真っ青な空がお出迎え。
眩しさに目を細めながら2限目には教室から居なくなった彼を探す。

「アギトくん?」

「あぁ?…テメェか。何だ」

寝転んだ体制から少し起き上がり、給水塔からこちらを見下ろすアギトくん。

「ご飯食べた?」

「…食ってねぇ」

「そっか。あのね、良かったらこれ…」

トートバッグからお弁当を取り出す。


「作ったんだけど、食べないかな?」


要らないって言われるんじゃないかと思ってたのに



「…そこに…置いとけ」


そう言ってまた寝転んだ。

「!…じゃぁ置いとくね。」

会話も打ち切られ、これ以上ここにいても仕方ないのでいつもみんなで昼食をとる場所へと移動する。
本当はアギトくんとも一緒に食べたかったんだけど…

(お弁当もらってくれたから良いや)

自然と笑顔になっていた。
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