番外編
□超えられない女帝
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「………」
『あらぁ、どうしたのぉ?レッドくぅん』
それから数日後、なんとレッド自らグリーンを率いてディアナの元へやってきたのである。
机に座っているディアナを無言で見下ろすレッドと、それに内心罵声を吐きかけているが表ではニコニコと笑顔を浮かべているディアナ。
それに気付かずまさか妹から姉に乗り換えたんじゃ!?と冷や冷やするグリーンだが、一呼吸置いてからディアナの机を取り囲む男子に視線を向けた瞬間凍りつく。
なんと全員が全員視線だけで人を殺せるのなら確実に50人は殺しているような鋭い目つきで此方を睨んでいたのだ。
彼らの目は全員一致で"ディアナに何の用だ…"と語っている。
「あっれぇ?レッドとグリーンじゃん」
「お前ら何しに来たの?」
表面上は人の良さそうな笑顔で言ってくる彼等、されどグリーンには痛いほどその言葉に棘がついていると分かった。
そう、彼等はレッド、もしくはグリーンが自分達を差し置いてディアナに告白するのではないかと疑っているのである。
なんで話かけた=告白になるんだよ、と言われるかもしれないがそれくらい彼等は鬼気迫っていたのだ。
実際にグリーンはあと少ししたらディアナに告白しようか…、とへたれなりに考えていた。
だがそれはもう少し後の事であり、今はレッドがディアナに用事があると言った事に興味があってついてきただけ。
なのにまさかここまで睨まれるとは…。
もし本当にディアナが恋人を作ったらどうなってしまうのか・・・。
考えただけでもゾッとする光景である。
『レッド君?』
「………今日の、放課後…」
『放課後ぉ?』
「…話がある…」
ピシリ。
教室全体が一瞬にして瞬間冷凍されたが如く静まり返った。
ええ、そりゃあもう笑えるくらいに。
ディアナは一瞬目を見開いたが、すぐに柔らかな笑みを浮かべて"ここじゃダメなの?"と聞くがレッドは無言で小さく頷くだけ。
レッドは言いたい事を言い終えたからかすぐに180度体を回転させディアナの教室から出ていった。
そして傍で呆けていたグリーンもハッと己を取り戻し慌ててレッドを追いかけるように出て行ったのを皮切りに、教室は弾けたように騒々しい物になる。
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