番外編

□超えられない女帝
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華奢な体はまさに精密に作られたビスクドール、背景には白桃色の薔薇を背負い、近寄れば心地良く嗅覚を擽るチョコかバニラか…甘い良い香りがする。

人形のように整った容姿の持ち主、それがディアナだった。


彼女が一言男子の耳元に囁けば大概の者は発情期の雌猫の様に腰が砕けディアナの言いなりで。

恋人のいる男子さえ魔法にかかったみたいにディアナを蝶よ花よと愛でた。

まさに"魔性の女"という言葉がピッタリと似合うディアナ。


だがそんなディアナに唯一落ちない男がいたのだ。

それがトレーナーズ・スクール三大美少年と囁かれる彼、レッドの存在である。


彼女はそんな彼の存在を鬱陶しいと思っていたし、自分の思い通りにならないのなら男子にたきつけて虐められるようにしてしまおうか…。

と、そんな事まで考えていた。


しかしある時とんでも無い事実がディアナの耳に飛び込んできたのだ。

それはあのレッドが大切な妹であるルナの事が好きだという噂。


あんな無表情でなんの面白みも無い何処の馬の骨とも分からぬ男にルナを奪われてたまるか!!

ディアナの胸にはドロドロとした独占欲とも嫉妬とも取れる感情が一気に溢れた。



そしてそんな時である。

一体どうやってレッドの奴を抹消してやろうかと本気で考えていた矢先。

ほんの少し自分が休日を利用してジョウトに行っている間になんとルナとレッドが接触していたのだ!!


しかもルナはレッドの名前を覚えただけでは飽き足らず(不本意とはいえ)電話番号まで教えてしまう始末。

これにはディアナも頭を抱えた。
(この時本気でポケギアの変え時かとも思った)

妹の天然具合を甘く見ていた自分にも落ち度はある。

だが妹は自分と同じ位整った容姿の持ち主なのに本人にはまったく自覚が無いというある意味一番困った例でもあるのだ。

故に今まではルナに近づく奴は即効で叩き潰してきたのである。


なのに、だ…。

そんなディアナの努力をレッドの奴は一瞬にして粉々にしてくれやがったのだ。

思い出しただけでも殺意にも似た感情が溢れ出す。

知らず知らずの内に握り潰してしまったシャーペンを隣に座っていた女子の筆箱に突っ込んで"私は何もしてませんよ?"という笑顔で男子を上目遣いに見上げた。

するとシャーペンの事を見ていなかった男子達はデレェ、とだらしのない顔つきでディアナの机を取り囲む。

変な被害を被った隣の女子が睨んできたが"私何かしたっけ?"という目で見れば引き攣った顔で前を見た。




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