正反対姉妹の華麗なる日常(ブック)
□その妹、マゾヒストにつき
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──スッ
『……あらぁ?』
《…?アイツは……》
『どうかしましたか?遙』
《あのリザードン、見覚えがある。》
マンションの屋上で寛いでいたルナは、遙に言われ上空を見上げた。
同時にリザードンもルナに気付いたらしく、あっという間に目の前まで降りてくる。
『あ、あの…私に何か…?』
《……やっぱりか。》
『は、遙!通訳を…』
《「俺はマスターからルナさんにコレを渡すように頼まれて来た。返事を貰うまで帰れねぇ…」だとよ。》
『……で、ですから…そのマスターがどなたなのかと…ι』
《レッドだ。お前が初めて顔と名前を覚えた男。》
『れ、レッドさん…!?あの方って確か行方不明じゃ……』
相棒に聞かされた名前に驚くルナ。
自分達の後にリーグを制覇したかと思うと忽然と姿を消し、グリーンすら行方がわからなかった彼からの手紙。
慌てて読もうとリザードンから手紙を受け取った瞬間、手紙が手元から消えた。
『お、お姉さま…!何をするんです!』
『やぁっぱりリザードンだったのねぇ。アンタの影が部屋から見えたのよぉ。
どれどれ…?………………。』
──ビリッ!!
《…!………!!》
《あーあ。お前死亡フラグだな。》
『ちょ…っ!?』
『今の手紙は忘れなさぁい?…リザードン、ちょっとそこに火炎放射。』
愕然とした表情をしたルナをさらりとスルーすると、同じく愕然とした表情をしていたリザードンに火炎放射を命じる。
リザードンがおずおずと火炎放射を出すと、ディアナは躊躇なくビリビリに破いた手紙を炎の中に投げ入れた。
『あららぁ。リザードンったら主から預かった手紙燃やしちゃって…仕方ない子ねぇ?』
『お姉さま!リザードンに罪はありませんよ!』
《「ディアナさんにだけは絶対に手紙を見せるなって言われてたのに…俺、死ぬのかな…」だって。お前弱ぇな。》
『遙!失礼な事を言わない!……リザードンさん、手紙は読めませんでしたが私に何か出来る事があれば言って下さい。貴方が辛い目に遭うのは嫌ですから…』
『ルナ、こんな奴気にする必要ないのよぉ?』
『で、でもお姉さま……』
放っておけと言うディアナに食い下がるルナ。
暫くして、珍しく折れたディアナにルナとリザードンが顔を明るくした時。
『ただし。私も着いて行くわぁ。あ、あと下僕も1人…最適なのがいるわねぇ』
『……?』
『……あ、もしもしグリーン?今からレッドの所に行くから着いて来なさい。貴方保護者でしょお?』
“はぁ!?ちげっ……てかレッド?!”
『口答えは聞かないわよぉ。今から30分以内に来なかったら死刑、ね』
“ちょ、まっ…!…──”
問答無用で電話を切ったディアナは、清々しい顔で言い放った。
『さぁて。ロココ、ちょっとレッドをシメに行きましょぉ?』
†