正反対姉妹の華麗なる日常(ブック)

□始まりの唄
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人ごみ溢れる地下鉄。

何をそんなに急いでいるのかと言いたくなる程早足で歩いていく大人達。

鉄の塊が爆音をたてて目の前を通過していくのを、ただ無表情に見ている二人の幼い少女がいた。


一人は輝かしい星屑のようなプラチナブロンド。

深い暗緑の森を連想させるようなエメラルドグリーンの瞳、可愛らしいフリルがこれでもかとついた桃色のワンピースを身に付けた少女。


そしてもう一人は同じく光を反射し煌くプラチナブロンド。

深い深海を連想させるようなエメラルドブルーの瞳、一人目の少女の服を黒にしたワンピースを身に付けた少女。


童話の世界に出てくるお姫様のような二人は鏡に映したような瓜二つの双子の姉妹。

まるで色だけを塗り替えたような二人は何処か異様で、異質で。

されど美しい野薔薇のように人々の視線を釘付けにした。



『・・・ルナ、もどるならいまのうちよぉ?』


一人目の少女は妹に酷く大人びた声色で話しかけた。

とてもじゃないが普通の幼子はこんな風には喋らない。

これからの壮絶な未来を見透かしているような、そんな喋り方。


『・・・ねえさまと、いくもん・・・』
『あのねぇ・・・。これからわたしがいくのは、とうさまもかあさまもいないのよぉ?』
『わかってるもん・・・』
『・・・・・・あとでだだこねてもしらないからねぇ?』
『だいじょうぶだもん・・・』



姉とは対照的に妹は容姿と変わらない幼い声色でもごもご話す。

不安はきっと計り知れないものだ。

そんな不安を握りつぶすように、妹は・・・ルナはディアナの袖を俯きながらもしっかりと掴んでいるのが何処か温かい。


『しぃらないっ!!あとでかえりたいっていってもいっしょにかえってやんないからぁ!!』
「いいもんっ!!ずっとねえさまといるもんっ!!」
『あっそ!!』


突き放すようなディアナの言葉、されど表情はどことなく嬉しそうで声色も弾んでいた。

ディアナは桃色の塗装されたボールを、ルナは黒色に塗装されたボールを握り締める。

そして絶対に離すまいと硬くお互いの手を握り合った。





『・・・いくわよぉ?』
『うんっ!!』





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