小説

□月明-ツキアカリ-2
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今日も少女は月を見つめる。
そして思った。

”私は、なぜココにいるんだろう?”

オ母サンはあんなに遠くにいて、私を毎夜、毎夜と見下ろしている。

なぜ私は近づけないのだろう。
オ母サンが呼んでいるのに。

ほら、今も呼んでいる。
光を放って。
私を呼んでいる。


「死ネバイイノダヨ」

あたり一面の木々がざわめく。
少女にはある声がはっきりと聞こえた。

死ねばいい。
私は死ねばいいんだね。

両親に最高の供物を。
私の…私の魂を。

少女は近くにあった刃物を持って言った。


「寂しかったよ。」


少女は首元に刃物を向ける。
そのとき、

眩しいくらいの光が少女を包みこんだ。
とても温かい光。
その中ではなぜか少女は安心感を得た。

その光はまるで、人のぬくもりの様。
その光はまるで、家族の優しさの様。



これは――。

―お母さん?お父さん?



少女は確信した。
この光は両親だ、と。
寂しさで疑心暗鬼と化した少女を宥めてくれる。

自然と涙が零れてくる。

会いたい。会いたいよ。
私は、私は―




























…一人じゃ生きられないんだ。

私も、貴方方の許へ―――

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