小説 東方迷い人
□序章 古びた神社
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ある日少年は朝の新聞を気だるそうに見ていた。その新聞を見る顔立ちはけして悪くないが寝ぼけ眼で死んだ魚の様な目をしていた。
「…『またも現る!忍一族大暴走!』」
新聞の見出しを口に出して、男が言った。
「…ったく。飽きないねぇ、このイタズラ民族も」
自分で作った朝食のパン
を、口の中に頬張りながら少年は言った。
まだ、朝方だというのに
家には誰もいなかった。
仕事か何かだろうか。
「なんでもいいけど迷惑かける事だけはやめてほしいね。…何年か前に、こいつらに家燃やされてるし」
謎のカミングアウト。他人からみたらこの少年はどれほど不幸なんだろうか。
その忍の一族≠ノ余程嫌な想いがあるのか少年はその記事を半分だけ読んで舌打ちした。
最後の一口になったパンを口の中に放り込み少年はまぶたを擦りながら身体を伸ばした。
「…さぁて、そろそろ学校行きますかね」
読んでた新聞を机に投げ捨て、少年は玄関に向かった。
『──忍の一族のお姫様行方不明!』
『──その姉も姿をくらます!』
『──最近頻繁に起きてる神隠しに関連か』
そんな記事が書かれてた
ことを少年は知らない。