小説 東方迷い人

□四章 雪景色の彼方
1ページ/51ページ

──辺りが白かった。と、言うのも昨日幻想郷に大量の雪が降ったからだ。

その大量の雪は1日で幻想郷を真っ白に染めて足が半分埋まるぐらいまで積もった。


そして今日の朝。
まったく起きる様子ない竜を置いといて霊夢はとても面倒臭そうに神社の周りの雪掻きをしていた。


「アイツは居候で私の家事をすることを条件でこの神社に住ませてたんだけど。あれ?あれれ?あれれー?」


そんなことを呟いては首を傾げて、いかにも面倒な表情で霊夢は雪掻きをする。


──しばらく雪掻きを続けて、疲れたのか作業をしてる手を止めて汗を拭った。


「──あら、博麗の巫女が仕事をしてるわ。珍しい」


不意に後ろから声が聞こえたので振り返るとそこには3人の女性が立っていた。その内の2人は霊夢の知った顔だった。


「…冷やかしだったら帰ってくれるかしら?どうせ賽銭の一銭も入れるつもりはないんでしょ?白玉楼の主さん」

「あらわかってたの?」

「帰れ」


西行寺幽々子>氛泓夢ににこやかに話しかける女性は白玉楼の主で冥界に住む幽霊達の管理をしている亡霊姫である。


「冗談よ。用件もなければこんな何もない神社にわざわざ出向いたりするものですか」

「…随分な言い種ね?」

「うふふ、傷ついた?」

「誰が」

「──幽々子様、用件は手短に済ませなければ…白玉楼を長く留守にするのはマズいですよ」


真面目そうな口調で幽々子に話しかけるのは白玉楼の庭師であり西行寺幽々子の警護役である魂魄妖夢=B
身体に長い刀、短い刀と二つの刀を帯刀してる姿は絵に描いた警護役の様である。まぁ事実警護役なのだが。


「いいのよそれぐらいのことは…貴女は少し固くて真面目過ぎるのよ。早く老けちゃうわよ?」

「…幽々子様は白玉楼の主としての自覚が足りないかと」

「もうっ。それどういう意味かしら?」

「あーハイハイ、アンタ等の世間話なんてどうだっていいのよ。…で?アンタ等の後ろにいる人は誰かしら?」


霊夢が終わりそうもない二人の会話に釘を打って、用件を聞き出す。


「あぁそうそう、用件というのは彼女なのよ」

「…というかこの人は誰なのよ?アンタの所の新しい庭師?」

「──貴女が博麗霊夢さんでやがりますですか?」


その女性は丁寧なのか乱雑なのかよくわからない口調で、笑みを浮かべながらそう言う。霊夢より身長も身体つきもかなり大人な女性だった。


「初めまして。どうやら妹がお世話になってやがった様ですねありがとうございますです」

「???」


その女性はその後直ぐに自己紹介をして、その名前を聞いた霊夢は納得の表情をしていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ