小説 東方迷い人
□二章 不夜城レッド
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──道中。
「楽しみだなー!なんかこういうのってRPGゲームに入った感じでいいよねっ!」
お姫様が元気にそう言ってその場をバタバタと走る。
(…でも、幻想郷の道中
なんて歩くのは初めてなんだよな)
竜が元気一杯のお姫様を
見てそんな事を思う。
見知らぬ道を歩くのはこのお姫様の言った通りRPG感覚でなんだか楽しい。
そう考えるとなんだかテンションが上がってきた。自分も駆け足でお姫様を追うことにした。
…調子にのって走ってると足をひねった。
──しばらく歩くと道に迷ってしまった。建物らしきものなど一つもない。
「まいったな…」
「あ、そういえば竜君霊夢ちゃんに行き際に地図もらってたでしょ?」
「あぁ、そういえば…」
と、言うわけで霊夢がくれた地図をズボンのポケットから取り出して、竜はその地図をその場で広げてみた。
「…なにこれ」
「アイツ…やってくれるじゃねーか」
手書きで神社と表記され
その右上ぐらいに○で囲ってるだけのクオリティがとても低いお手製の地図だった。
「アイツほんとに女か!?」
「あ、アハハ…」
さすがのお姫様も苦笑いだった。
「しょうがねぇ…引き返して霊夢にもうちょい詳しい話しを聞くか?」
「…いや、大丈夫!北はあっちだよ!」
「はぁ?何を根拠に言ってんだ」
「女のカン!」
と、言ってお姫様は走りだした。
「おいおい…迷ったらどうすんだよ」
だが1人になるのも後々めんどくさくなることは考えなくてもわかる事なので、仕方なく竜はお姫様の後に着いていくことにした。
「──ほら着いた!」
「マジかよ…」
目の前には綺麗な湖とその後ろに立派な建物があった。
そして辺りは霧がかかって
いる。
(なんつーか…女のカンって当たるもんなんだな…)
お姫様の後ろ姿を見て竜はそんなことを思った。