短編集
□君のいる屋上へと
1ページ/6ページ
教室のドアを開けると、一瞬でざわっとしたのが解った。
変な沈黙が流れ、すぐに取り繕うような会話がポツリポツリと始まる。
原因は解っていた。私の眼帯だ。
昨日まで何も無かった顔に、今日は無数の傷痕がついている。
教室にいる誰もがその訳を尋ねたかったが、結構な怪我の為逆に聞き辛い空気を出していた。
また、私も誰に話しかけることもなく、一人席につく。
だが、すぐに息詰まり、溜め息を一つ零した後―少し迷ってから屋上に行くことにした。
―「あれってさ、元彼がやったんでしょ?」
―「なんかだいぶ前に別れたらしいけど、ずっと付きまとわれてて、昨日キッパリ断ったら
殴られたって…あたし友達に聞いた」
―「何それ怖っ。大丈夫なの?」
―「ああ、何か近くに居た人に助けられたらしいけど…」
そんな会話を聞きながら。
.