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□じゅーいち
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「俺がどれだけ口説こうと努力しても、
全部紗倉さんには届かないからさ」
「………」
最初に出てきた言葉は、『酔ってますか』。
その次、『何のドッキリですか』。
そのほか同じような言葉が何個も出てきて―。
13個目の言葉が、『本当ですか』、だった。
「……っ…え、ええと…?」
結局どれを言えばいいかわからなくなって、折原さんに説明を求める。
―13個目の言葉が、
胸の奥で疼いているのを無視しながら。
よく考えれば、13って縁起の悪い数字じゃないか。
「だから、直接行動に出ようと思って。
最近は声かけるようにしてたんだけど」
「ああ、道理で最近一層鬱陶しいなぁと……」
半分無意識に呟く。
ああくそ、全然13個目が消えない。
それと同時に頬が熱くなってきたのがなんか分かる。
酔ってる、酔ってるんだ。うん、そう。
「…言いたいことは、だから、そう」
折原さんも、酔ってるんだ、酔って―――――
「好き、って、こと」
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