中編集
□じゅーう
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「紗倉さんは男の人に興味ないの?」
噴いた。
お酒を。
「……っっ!!っげほ…!
な…何ですかいきなり…っ!」
「くくっ…!あ、あいや、御免ね?大丈夫?」
「へい、きですけど…っ」
軽く咳き込みながら睨みつける。
折原さんは申し訳ない的な表情を見せるが、残念ながらこっちは
笑ったの、しっかり見えてんだからな!
「…で、ほんと何ですかいきなり」
「いや、興味ないのかなーって」
「いや……あります、けど…。普通に」
しどろもどろになりながらも答える。
というか、折原さんとこんな話をするとは思わなかった。
今更ながら折原さんは、会社の同僚とか、苦手とか絡みづらいとか以前に―
異性、なんだなぁ、と。
少し。
「いやあ、だってさー」
折原さんは酔っているのか、瞳をほんの少し―ほんの少しだけ湿らせ、
いつもとは違う笑みで私を見つめた。
…なんだ、これ。なにこの、気分。
こっちは何故か酔いが引いた気がする。
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