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□きゅーう
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「今日は、割り勘で。じゃないと私何するか…」
「はは、別にいいのに。あんな誓約書、書かせちゃったし」
「いえ、結局破棄させて貰ったので気にせず」
携帯のディスプレイを見ると11時を過ぎていた。
結構時間は遅い。明日も通常勤務がある。
それでも私は折原さんとバーに来ていた。
今日飲まずに、いつ飲むってんだ。
「とりあえず、何か軽く頼もうか」
「そうですね」
適当に頼み、軽食をつまむ。
相変わらず私の折原さんに対する苦手意識は残っている。
好きか嫌いかと聞かれれば、嫌いと答えるだろう。
苦笑しながら運ばれてきたお酒を一口含むと、
不意に折原さんがぐっと近づいてきた。
「…っ!?」
「ねぇ、紗倉さん。ずっと聞きたかったんだけどさ」
「は、はい?」
若干体を引いてしまう。
びっくりして心臓の鼓動が少しだけ早まった。
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