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□なーな
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「…まぁ、いいですけど」




そこでようやく当初の早々に切り上げて帰るという選択を
すっかり放置していたことに気づき、

一つため息を零して

折原さんの持つ紙を奪おうとする。




「じゃあもう要りませんよね、物騒なので破棄しますよ――

……って、折原さん?」


「……」




しかしなぜか折原さんは手放そうとしない。

軽く引っ張ると、破れない程度の力で引っ張り返された。




「…紙を手放さない理由を3文字以内で言ってください」

「『いやだ』」

「それは理由じゃない!」

「ていうか3文字は酷いでしょ、せめて7文字くらい」

「じゃあ7文字で」

「『せっかくだから』」

「却下!」

「却下なんて制度はないよ!」

「制度ってここはあんたの国か!」

「今は俺と紗倉さんの二人しかもうオフィスにいないし
 俺の国ってことでいいんじゃないかな!」

「じゃあ私が王様だ!」

「王様は一律男って決まってるから!」

「私の国だ私が法律だあああ!」

「安っぽい悪役台詞は死亡フラグしか立てないよ!」

「ええい五月蝿い、引っ込め庶民!」





……。


大の大人が二人も職場で大声で小学生みたいな会話を繰り広げるという絵面は、

きっと外から見れば面白いんだろうに。







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