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□ろーく
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それに…。
「…この紙、私のとこにあったんですね。
折原さん、持ち帰らなかったんだ」
「そりゃあ、お酒の席でのことだからね。
沽券に関わるし、やめておいた。
迷ったけど」
迷うなよ。
私の殊勝な態度の奥底からの睨みが効いたように、
折原さんは首を竦めて付け足した。
「でもほら、今まで一度もそのことには触れなかったし、使ってもないよ?」
「まぁそうですけど…。…いや、でも嫌がらせさせられた記憶はあるんで、
つまるところこんな紙が無くとも私は貴方の言いなりになっていたみたいな」
「誤解だよ!流石に今の発言には撤回を求めるから!」
ていうかそんなに嫌がらせしたかなぁ俺、
いや面白いからからかったりはしたけど…と考え込む折原さん。
正直今のは日頃の恨みというか、ちょっとした仕返しだったので、
素直な反応をされてこっちが戸惑ってしまう。
あまり考え込まないでくれ、良心が痛む。
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