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―翌日。
「えみ〜」
「なに?」
傷も早々と癒え、翌日普通に登校することができた。
幸運な事に、顔に目立つ傷は無い。この程度なら、友達にも全然気付かれ無さそうだ。
案の定近づいてきた友達も、かすり傷に怪訝な顔をしたものの、特に気にする様子もなく、
ただ昨日のことをたずねてきた。
「昨日の呼び出し、どうだった?何の用事?」
「ああ、んーとね、告白」
「え!?」
私はニコリと笑い、声を小さくしてね、と口元に指を当てる。
「こ、告白って、誰から?」
「折原君」
「…あ、ああ、折原君かぁ、なんだぁ。
改めて告白してきたんだ、本気だったんだね、やっぱり。
えみかっこいいし、好きになるのもわかるわー」
「かっこよくないよ」
「あははっ。
―あ、それで、返事は?何て言ったの?また断った?」
「んー?」
相手の言葉を楽しむように、目を閉じて笑みを作る。
―願わくば、今、ちゃんと心から笑えていますように。
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