中編集
□10
1ページ/1ページ
泣く、どころじゃない。
こんなの………信じられなくて。
私を解ってくれる人が…………いる………?
私はそれに縋っても……いいの?
「おりはら、くん」
「…何だい」
「私……私、こんなんだから、意地っぱり直せないし、っ、
厄介で…迷惑かけると思うんだ、」
「確かに、これからいろんなことが起きるかもしれないねえ。その性格ゆえに」
頷く。
折原君も、何となく、察しているようだった。
具体的じゃなく、感覚で。
「まあだけど、いいんじゃない?それもまた人生。
退屈しそうにないよ。ありがとうえみちゃん」
涙が止まらない。
どうして折原君は…私が一番嬉しい言葉を知っているんだろう?
まるで……まるで、運命の人みたいじゃないか
「えみちゃん?」
「折原君」
「うん」
「貴方に…私の全てを預けてもいいですか」
大袈裟だってことなんて、十分承知している。
それでも、聞きたくて。
それでも、その言葉が欲しくて。
「えみちゃんの全てなんて、軽いものだよ。俺にとっては何てことない。
―だから、君は何も気にしなくていいさ。
今まで色んな人に、自分自身に、気を遣って生きてきたんだろ?
俺にくらい、気を遣うのやめなよ。全部、受け入れてあげるから、さ」
.